デジタルデータ取り扱いワーキンググループ

デジタルデータ取り扱いワーキンググループ

管理会社のデータの取り扱いの事例及び注意点について

【1】本会の背景・趣旨

申込み業務のWeb化等、不動産テックの浸透に伴い、多くのベンダー企業がプレイヤーとして存在してきている。
それに伴い、デジタルデータの取扱いについても、議論されるような機会が非常に増えてきおり、不動産管理業界でも大きな課題にもなりえる。
本ワーキンググループでは、業界の信頼の担保を目的として、管理会社・ベンダー企業・法律事務所の関係者を交えて、不動産業界において、電子申込みを含めた賃貸借契約及び賃貸管理に際し、取得したデジタルデータの取扱い及びデータの帰属先について、検討を実施した。

【2】具体的な事例テーマ


(1)Web申込で取得したデータの第3者利用について

事例①

管理会社のWeb申込みにおいて、保証会社・関連会社など複数社登場するケース。
各社雛形なども異なるのが現状。
各社ごとの取り付けをすることが望ましいことを前提とし、実際の実務レベルでは難しい。
そのため、1つの同意書としてまとめること自体は問題ないか?

ことぶき法律事務所の見解

各社の内容がしっかりと包括された同意書であれば、1つの同意書でも問題はない。 なお、電子申込みについては、個人情報の取得同意を結んでもらうことを前提としているため、管理会社・仲介会社・保証会社・関連会社などから、それぞれの項目にレ点チェックをして貰っても勿論構わないが、同意書中に各社の社名が記載され同意の対象が明らかであれば、同意書1つに対し1つのレ点チェックでも構わない。

事例②

Web申込で取得したデータを本来の目的以外で(アウトバウンドコール等)利用し営業活動を行うことについての承諾を得るにあたり、仮にデフォルトで合意にレ点のチェックが入っているような同意書は問題になるのか?

ことぶき法律事務所の見解

問題になる。個人情報保護委員会は「本人による同意する旨の確認欄へのチェック」「本人による同意する旨のホームページ上のボタンのクリック」等、本人による意思表示行為がなされた場合に本人の同意を得ていると判断するとしている。

事例③

Web申込で取得したデータを本来の目的以外で(アウトバウンドコール等)利用し営業活動、個人情報の同意を取得した管理会社(代理店を含む)の名称で業務委託会社が電話をする場合。

ことぶき法律事務所の見解

個人情報保護法に定める内容を予め本人に通知し又は本人が容易に知りうる状況に置いた場合は、共同利用として、第三者提供には該当せず、通知のみで問題ない。なお、個人情報保護法が定める内容は①特定の者との間で個人情報の共同利用をする旨、②共同して利用する個人データの項目、③共同して利用する者の範囲、④共同利用する者の利用目的、⑤当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称である。

事例④

アウトバウンドコールの目的として、住生活に関わること以外の入居者の生活の範囲を超えるものは問題になるのか、否か。

ことぶき法律事務所の見解

個人情報保護法上は、アウトバンドコールの目的が住生活に関わるものか否かで差異はないと考えられる。いずれの場合にも、アウトバンドコール(どのような内容のアウトバンドコールかも含め)を行うことを個人情報の利用目的に含めること、個人情報の取得主体(管理会社)以外の者がアウトバンドコールを行うのであれば第三者提供の同意を取るか、共同利用の要件を満たすことが必要。
Web申込で取得したデータの第3者利用についてのガイドライン
  1. 管理会社のWeb申込みにおいて、保証会社・関連会社など複数社登場するケース。
    各社雛形なども異なるのが現状であるが、各社の内容がしっかりと包括された同意書であれば、1つの同意書でも問題はない。
    なお、電子申込みについては、個人情報の取得同意を結んでもらうことを前提としているため、管理会社・仲介会社・保証会社・関連会社などから、それぞれの項目にレ点チェックをして貰っても勿論構わないが、同意書中に各社の社名が記載され同意の対象が明らかであれば、同意書1つに対し1つのレ点チェックでも構わない。
  2. Web申込で取得したデータを本来の目的以外で(アウトバウンドコール等)利用し営業活動を行うことについての承諾を得るにあたり、個人情報保護委員会は「本人による同意する旨の確認欄へのチェック」「本人による同意する旨のホームページ上のボタンのクリック」等、本人による意思表示行為がなされた場合に本人の同意を得ていると判断するとしている等の理由により、事前に同意のレ点等入っている同意書の利用は出来ない。
    尚、Web申込で取得したデータを本来の目的以外で(アウトバウンドコール等)利用し営業活動を行うことについての承諾をしなければ、申込みが出来ないという仕組みになっているWeb申込システムの利用は望ましくない。
  3. Web申込で取得したデータを本来の目的以外で(アウトバウンドコール等)利用し営業活動、個人情報の同意を取得した管理会社(代理店を含む)の名称で業務委託会社が電話をするケースでは、個人情報保護法に定める内容を予め本人に通知し又は本人が容易に知りうる状況に置いた場合は、共同利用として、第三者提供には該当せず、通知のみで問題ない。なお、個人情報保護法が定める内容は①特定の者との間で個人情報の共同利用をする旨、②共同して利用する個人データの項目、③共同して利用する者の範囲、④共同利用する者の利用目的、⑤当該個人データの管理について責任を有する者の氏名又は名称である。

(2)管理会社と業務を共にする別法人企業等の共同利用について

事例①

保証会社で審査落ちした入居者情報を、管理会社及びベンダー企業が別目的で利用することは可能か。

ことぶき法律事務所の見解

個人情報取得にあたり、利用目的の承諾を得ていれば、可能ではあるが、実際に入居していない入居者に対してサービスを提供することの是非は別視点での問題。

事例②

賃貸借契約時に取得した個人情報については、退去後も有効になるか?

ことぶき法律事務所の見解

入居者の個人情報については、通知した利用目的の内容次第では退去後も利用ができる。

(3)ビックデータの活用

事例①

ベンダー企業などが、管理会社が入力した情報をビックデータとして活用する場合、
個人情報同意書を取得する必要があるか?

ことぶき法律事務所の見解

基本的には個人情報保護法に該当しないため、不要。
ただし、匿名加工情報に分類されるケースもあるので、確認が必要。

事例②

ベンダー側が入居者申込みで取得した情報の理想的な保持期間

ことぶき法律事務所の見解

個人情報保護法19条で、利用する必要がなくなったときは、個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないと定めている。ただし法令上、保有可能期間は定められていないので、企業の業務運営上の当該情報の将来的利用可能性を慎重に検討した上で、一定の社内ルールを定めて必要性がないと判断した情報を適宜消去するのが合理的であると思われる。

事例③

管理会社が入居申込書で取得した情報の権利の帰属先については、管理会社、家主、サービス提供ベンダーのどこに帰属するか。

ことぶき法律事務所の見解

管理会社が取得した以上は、管理会社に帰属する情報と考え、家主・サービス提供ベンダーを含め他者に提供する場合には、第三者提供又は共同利用の要件を満たす必要があると考えられる。
ビックデータの活用に関するガイドライン

Web申込会社、ベンダー会社等などが、管理会社が入力した情報をビックデータとして活用する場合、基本的には個人情報保護法に該当しないため、個人情報同意書を取得する必要は不要である。ただし、匿名加工情報に分類されるケースもあるので、確認が必要である。

Web申込会社、ベンダー会社等が入居者申込みで取得した情報の理想的な保持期間に関しては、個人情報保護法19条で、利用する必要がなくなったときは、個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないと定めているが、法令上、保有可能期間は定められていないので、企業の業務運営上の当該情報の将来的利用可能性を慎重に検討した上で、一定の社内ルールを定めて必要性がないと判断した情報を適宜消去するものとする。

データの帰属に関するガイドライン

管理会社がWeb申込で取得した情報の権利の帰属先については、管理会社に帰属する情報と考え、家主・サービス提供ベンダーを含め他者に提供する場合には、第三者提供又は共同利用の要件を満たす必要がある。 また、Web申込会社、ベンダー会社等が、本情報を利用する際には、管理会社の承諾を必要するものとし、管理会社が本承諾を取り消した場合には、Web申込会社、ベンダー会社等は、本情報の利用を速やかに停止し、情報を消去することが望ましい。

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