活用事例

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住環境推進室 山下 大介 氏 荒井 美由紀 氏

公社に必要だった“共通言語”。25名一斉受験の舞台裏

一般財団法人神戸住環境整備公社
住環境推進室
山下 大介 氏
荒井 美由紀 氏
~事務系職員にもメンテナンスの知識を。公社が見据えた新たな人材育成~

公社の賃貸住宅管理業務は、「技術系」と「事務系」の職員に分かれます。技術系の職員は、日常的に工事や修繕手配を担い、一定レベルのメンテナンスの知識を備えています。一方、事務系の職員は入居者からの電話一次対応や予算執行管理を行うものの、メンテナンスの知識は不足している傾向にあり、知識不足は日頃から課題に感じていました。そんな中、賃貸住宅メンテナンス主任者が初学者の教育に有効であると社内で話題になりました。当時、神戸市の方針を受けて社内の組織再編が行われた直後で、丁度、人材育成に力を入れている時期でした。その流れもあり受験料は公社負担で、私たちを含む25名が受験する運びとなりました。内訳は事務系が80%、技術系が20%と、事務系だけではなく技術系の職員も受験しました。

晴れて合格した後は、入居者からの電話対応の精度が格段に上がりました。これまで正確に把握しづらかったお客様の問い合わせ事案も、わからないことはテキストを見返すことができるので、正確に諸症状を把握し易くなりました。また、工事などの予算執行管理の場面でも、何をするためのお金なのか、より詳細に把握できるようになったと実感しています。技術系の職員にもおさらいとして、詳細な給排水設備の仕組や法定点検の体系的な整理として役に立つものでした。
~ 公社を取り巻く環境と、課題を切り抜ける共通言語~
神戸市では、1995年に発生した阪神・淡路大震災の直後から建物の復興・再建が急務となり、市の方針を受けて公社は多くの賃貸住宅を1995~2000年台初頭に建設しました。これにより2025年現在は築20~30年の住宅がボリュームゾーンで、多くの住宅で同時期に設備が老朽し、一斉に修繕が発生するようなケースもあります。また、公社では約6割の管理物件がファミリータイプであるため、子育て世帯ならではのふすま破損、落書きといった損耗トラブルも多く発生します。退去が集中する引っ越しシーズンは特に、これも同時期に集中します。
同時期に複数発生する修繕には、対応できる人材も多く必要で、人材不足は、質の低下や対応遅れによるクレームにも繋がります。こういった現場での初期判断や業者手配をスムーズに行うためにも、この資格は公社にとって重要な役割を果たしていると思います。賃貸住宅メンテナンス主任者を、担当業務や経験年数の垣根を越えた「知識の共通言語」として、入居者の快適な暮らしを守るために今後も活用していきたいです。